スタートアップと新卒採用

スタートアップにとっていつも起こるのが人材難。PMF前とPMF後では全く違うが、どちらも別の意味で人が課題として一番話題にあがることが多い。(* PMF 前は教科書的な話をすると本当に少人数であることをオススメする。ピザ囲めるぐらいと偉い人が言っていたが本当に”少人数で密にやる”これに限ると個人的にも思う。が思い切って採用しないとそれも回せないので塩梅は難しい)


そこで以前下記のような記事を書いていかにスタートアップで働くひとを増やすためにはどういうことができるのだろうかということを考えてみたが、今回はもう少し具体的な案として”新卒採用”を一番初期からやっていくのが良いのではないかということについて考えてみたいと思う。

スタートアップ企業で働く人を増やすには
VCの仕事をしていて一番といってもいいぐらい相談されるのがいい人いないかという相談。どこまでいっても事業づくりは仲間集め。採用というものが課題のところが多いと思う PMF前は逆に採用をしすぎないほうがよく5−6人ぐらいがオススメではあるが、踏み込んでみないとPMFするかどうかもわからないというのは正直なところかつ、やはり良い人が入ってくるだけでいろんなことが前に進むのでつくづくいろいろあるが人が一番大事という当たり前の結論に至ることが多い(一方逆効果もしかり) そこへの支援をどう行うべきかという論点はあるものの今回考えたい問いとしては、どうすれば”スタートアップ企業に転職・就職してくれる人…

全体的な人材不足の中でもちろん中途の方の採用も増やしていく必要があるが、もうこれは結構全社が力を入れているはずで、なかなかリソース的に大変であることは承知だけれども新卒という枠がもっと広がっていくことが業界にとっても重要なのではないかと思う。

現状は新卒から人気があるとは言えない

現状の日本の新卒がどのくらいスタートアップに就職しているのかというとデータはぱっと調べたかぎりではでてこなかったがまだ正直メジャーな道ではないとは思う(今後も一番人気になることはないだろうが、どういうふうな印象をもっているのだろうかは気になる)
現状でもランキングなどを拝見すると商社や銀行系が並ぶ。もしくはMBBとよばれるようなコンサルティングファームや、IBDなどは未だに人気が高いと思われる(参考:2023年卒就職人気企業ランキング


実際にスタートアップに入ってくる人たちは見ているが、インターンからの採用が特にアーリーステージまでの企業からすると多い印象がある(そうするとスタートアップでインターンを増やしたほうが良いという主張になりそうではあるが・・)ちゃんとした就活におけるフローにおいての新卒採用をしだすのは本当にレイターの時期にはいってからのところが多いのが体感。それもあってもあるがなかなか認知度が上がってないのではないかと思う。


学生の気持ちとしてはわかるものはある。自分自身もスタートアップなどでインターンしときながらファーストキャリアとしては、Googleといった大企業にいってしまったので、ポジションとして言いづらさはあるのは確か・・

なぜスタートアップは新卒採用を積極的にすべきなのか

それでもまずなぜスタートアップ側が新卒採用に力をいれるべきかと考えているのは3つある

1.カルチャーのリーダーになってくれる可能性がある
2.まだ誰もやったことない領域であればあるほど、経験は負債になる可能性もある
3.勢いと愛情をもってくれやすい・エンゲージメントが高い

この3つが個人的にはスタートアップが新卒で社員を入れる意義ではあると思う。

カルチャーのリーダー

基本的にはスタートアップというものは代表の方の出身企業のカルチャーが色濃くでる。もっというと3-5人くらいの正社員のカルチャーで大体そのまま成長していく感覚が傍から見ていてそういった感覚がある。

新卒社員は、スタートアップという文化を理解し、企業のビジョンを受け入れることができる。新卒社員は、成長を支える力になり、他の社員にインスピレーションを与えることができる。いわばカルチャーのリーダーとして機能することができるようになることは会社にとって大きい価値だと思っている。

その会社のカルチャーを知りたければ①代表が帰った後のオフィス、また②新しく入社した社員の振る舞いを見ろっていうのは良く言われた話だとはおもうけれども、③新卒がどういう人なのかはその3つ目のカルチャーを知る要素として多く働くと思われる

経験は負債

基本前提として、スタートアップの多くは今までにないものを発明したり売ったりしている、そこに経験は不要なものが多い。(といいつつ需要は不変ではあるので、全く新しすぎるものを売っているわけではないが・・)その中でも特に新しい文化やテクノロジーに近づけば近いほど誰も経験していないものが多い、そういうものにおいては他の業界や今までの知見・経験は負債になっていくことが多い可能性もあると考えている。

なのでそういったところは柔軟な地頭をもった新卒社員がワークする可能性が高いのではないかと考えている。無知なほうが型にとらわれずその事業やモデルにそったスキルをキャッチアップできやすくなると思う。

勢いとエンゲージメント

スタートアップというのは全力で駆けていく、とにかくスピードが重要だと思っている。一概的に経営においてはスピードが早ければいいというものではないが、スタートアップに限っては何事もスピードが重要。

もっというとVC-backgroundの場合は資本コストが高いことを認識すると、一年の成長率であり福利でどんどん成長していくことが求められると思う。その中でやや語弊があるかもしれないが”若さ”は勢いをもたらす。年齢的な・ナンバーの若さじゃなくてもいいが、フレッシュさというのはやはり勢いをつけてくれると思う。

その勢いを生かしていくことはスタートアップにとっては数字には現れないが重要なものだと思う、いわゆるモメンタムというのは馬鹿にできないと思っている

また少し語弊を生む表現かもしれないけれども、転職が主体の組織になってくるとどこかのタイミングで従業員は転職していく可能性が高い。基本人材の流動性は高めていくことが基本的には人材がぐるぐると周り良いことだとは思うが、スタートアップにおいては愛着・エンゲージメントをもって推進してくれるメンバーというのは重要だと思う。

一番は創業者であり経営陣はエンゲージメントが高いと思うしそうであってほしい、それ以外にもやはり初めての会社というのあエンゲージメントがもちやすいと思う。理由もなく定性的な意見で申し訳ないが、だれしもにとって新卒は印象深い企業になるはずである。



という点において新卒採用というものにトライしていってもいいんじゃないかなと思ったりもする。
一方両方においてはデメリットはあると思うが、一旦採用する側のデメリットに関しては改めて書く必要性はないとおもうので、省略する(いわゆる新卒を取るリスクはなんとなく分かると思います)

学生側:新卒でスタートアップにいくデメリット

一概にスタートアップといっても幅広すぎるので、一旦この新卒採用を始めるか迷うぐらいのシリーズAからBぐらい(15-50人社員)ぐらいのスタートアップを想定して書いてみる

  • 会社が倒産する可能性がある

これはスタートアップをやる上では当たり前なのだけれども、急成長を目指すために先行投資をし続けることが基本的にはスタートアップの思想である(ケースバイケースだが)。なので手前は意図的に赤字を出す(出さざるを得ない)のが基本の思想である。そのため調達が上手くいかなかったり、いろんな理由で会社がなくなる可能性・辞めざるを得なくなる可能性がある。

  • 雑務が多い・ジョブスコープが広い可能性がある

もちろん大企業だから雑務がないわけではない(本質的でない雑用が多くなる可能性もある)が、スタートアップということは基本的には足りていないっていう状態が長く続く。こんなことも自分がやらないといけないことがあるのか?ということをやらないといけないことは多々ある。また自分の仕事のスコープは広くなりがちである。これだけやればいいというよりは、あれもこれもっていう状態が多い。繰り返しだがスタートアップだから特別あるというわけではないが、多くなりがちなところではある

  • 研修やトレーニングの予算が低い可能性がある

大企業においては研修などがしっかりしているところがあるが、スタートアップにおいてはそういった制度が多く整っている場合は少ないと思う。どちからというとオンジョブトレーニングが多い。ここはまあスタートアップとしても強化していく必要もあるかもしれない。一方多種多様な企業からの先輩が多いため、その彼ら彼女らが受けてきた知見を受け継げるのでお得感も考えようにはあってあるが、一般論的には少ないと思う。

  • 転職者が上のポジションをとることが多くなる可能性があるが、実力次第

新卒で入ってもじゃあ他のCXOポジションは転職者になる場合が多いのではないかと。それは多くは正直そうだと思う。もっというと数年のスコープではそうだろうと思う。一方大きな企業に入ったらじゃあどうなのかというと数十年のスパンで登っていくので、そこまで変わらないだろうとは思う。ただ最近メルコインの代表が新卒であったり、自分の投資先でも頭角を表せばきちんとポジションとして出世している方も少なくない。実力次第ではあるが一般的に短いスパンでいうとそういったデメリットはあるとは思う。


ここからはポジショントークだが、終身雇用なんてのはあんまりもう概念として薄まっていくいまの社会においては特に大企業かどうかはっていうのは重要でなくなってくるのではないかなと思う。自分が好きなこと、興味あるところでちゃんと楽しく働けるか(自分の好きな職種がみつかるかどうか)のほうが重要になり、より人材の流動性は高くなるはずなので、こういった道を選ぶ学生の方が増えたらいいなと個人的には思う。


ただ、”スタートアップ”に行きたい、”成長したい”っていう心持ちよりは、”この人と働きたい”や”この会社のミッションやサービスが好き広めたい”っていう気持ちで行ったほうが良いと個人的には思っている。そうすると否が応でも成長するので大丈夫だと思う。Follow your heartして意思決定をしていただければいいかなと思う。

スタートアップと新卒採用

つらつらと書いてきたけれども、お互いに効用がある採用手法だと思う。どのくらいからでは実際に始めたらいいのかとかそういったものは正直自分の中では答えが決まってないので、ぜひチームなどで相談してみてもいいのではないかと思う。ポジショントークだが、VCにいる身としてそういったスタートアップに関わる人の人口がどんどん増えていけばいいなと思うし、そういった方が更に起業してというエコシステムがより回っていけばいいなと個人的には思っている