AI時代におけるセンスの必要性について

“AI時代において人間の果たす役割というのは何だろうか?” この疑問と資本主義の成熟化に伴う様々な課題を考えたときに、”センス”という言葉/概念が自分の中では重要なのではと、腑に落ちてきたところを言語化してみる。 AIの時代 AIの時代・シンギュラリティという言葉を聞いたのは10年前だが、この数年で機械学習というAIの活躍から、生成というところまで技術の発展が著しい。この技術的な進歩と社会に普及していくスピードにズレはあることは間違いないが、遅かれ早かれAIとの共生をしていくこととはどういうことかについて考えなければならなくはなる。 AIの時代においていはこれも擦られた言葉だが、データが石油である。そういったデータを元に、その過去データの範囲の中で目的を与えたときに最善解を見つけ出すという行為は人間が勝てることはなかなか難しくなってくるはずだ。 機械学習におけるレコメンドシステムみたいなものは多くのECサイトなどでも使われているし、NetflixのレコメンドやTikTok.YouTubeのレコメンドでずっと見てしまうっていう経験は多くあるであろう。 つまり、過去のものを分析し

お金の流れを変えるための"Big issue"の提起 ~American Dynamismの文脈整理と転用可能性~

前回の記事でSpeculative な事業アイデアの考え方について書いてみたが、そのなかでBig Issueの話を記載した。そのBig issueにおいてのスタートアップ起業のトレンドについて考えてみたいと思う。 これもどこかで言語化したいが、つまりロジカルシンキングにおいて捉えられる課題は、変化の少ない時代において、Big Issue(気候変動など)しか残っていなくなってきている / Big issueの時代になりつつあると思っている。(ロジカルシンキングの限界とスペキュラティヴシンキングの可能性より) このことについて考えさせられたのは、a16zというUSの著名VCが提示したAmerican Dynamismというナラティブについて考えていたからだ。なので今回はその文脈整理を行った上で、日本に転用するとどういった投資テーマ・起業テーマがあるのかを考えてみたい。(ちょっと今更感あるのはご勘弁、考えていたけど書くのが遅くなりました。。) American Dynamismとは a16zのメンバーである、Katherine BoyleがBuilding American Dyn

Apple Vision Pro/XRデバイスの普及はどうしたら加速するのか

ここ最近(書いている時点では2024年2月2週目ほど)で一番ニュースになっているのはOpenAIが出したtext-to-videoのSoraとApple Vision Proであろう。 動画AIに関してはまた別の記事などで考えたいが、想定より技術進歩が早い。画像だけのユースケースと動画まで作れてしまうと、個人の濃ゆい思想を持った人・少人数の組織体によって活躍できるような時代がくるのかもしれないというのはまた別記事で。。 今回はApple Vision Proについて考えてみたいと思う。自分も縁あって触ってみたが、感動した。さすがAppleだなという、特に空間コンピューティングのUXの創り方・魅せ方はさすが。 Macbook,iPhone,iPadみたいなのの延長にありながらも、新鮮さ・Wow感みたいなのが残しているので、3分-5分ぐらい触っているとなんとなく操作になれてくる。この操作に慣れる感が非常に早いのに驚いた。目線のマウス操作から、クリックの動作含めて新鮮味があるけど、すぐに使いこなせるようになる。 子供がiPadを大人以上に使いこなしているのをよくみるが、そのような直感

AMP IT UP テンションをあげろ

AMP IT UP 最近あんまりビジネス書を読んでいないのだけど、久々に読んだ中ではぐっとくるものがあった。こういった経験本や、若干の自己啓発本は俺/私の成功を聞いてくれ!というような元気づけにはなるが、思考は巡らないみたいなものが正直多かったがこの本は読みながら思考が巡った。 SnowflakeをはじめとしたSoftware企業の代表を務めていく中での体験談と自分の経営哲学について書かれたものだが、リーダシップについて考えたい人達には非常にオススメをする一冊である。 基本的にはVCには否定的であり、それもリアルで面白い。そして一度どこかのVCに入ってみたけど、やはり口出したくなって起業家に戻ったのも凄くリアルで面白い。自分でやってて思うけど、起業タイプの人間はあんまりVCに向いてないかもしれないということは思う。その人達にとっては実体感・手触り感、達成感がないのは耐えられないと思う。起業家のメンタリティと投資家のメンタリティは真逆にあると個人的には思っている。 話題それたが、とりあえず起業家とかでPMF後ぐらいでリーダシップの必要性を感じている方々には非常にオススメする一冊で

ロジカルシンキングの限界とスペキュラティヴシンキングの可能性 ~ユニコーン企業を生む問い~

シードを中心に投資をするVCで働いている身としては、常に新しい投資テーマや投資仮説を探しているし、起業家とも起業アイデアからディスカッションしたりすることも少なくない。 そのような中で、いくつか事業アイデアの考え方があるとは思うが、一番良く言われるのは”課題/ペインポイントはなにか?”という話である。 “何の課題/ペインポイント”を”どのようにして解く”のか よく言われるのはこの組み合わせで事業アイデアは考えるというものが教科書的な話ではある。自分もよく起業家と面談しながらペインはなに?それは本当に深いのか?みたいことをは聞いたり、自問したりする。 一方最近感じている問いとしては、このペインポイントを中心とした帰納法的な思考におけるアプローチの方法は正しいとは思うが、よりユニークな企業をつくるために違ったアプローチも考えるべきではないのか?と考えている。 例えば少し古くなるがAirbnbの前にあのアイデアに課題はあっただろうか?Uberが出る前に課題はあっただろうか? そうした課題やペインポイントから始まるビジネスの創造ではない、オルタナティブな方法について、想像してみたい